今日は気温と水温についてちょっと考えてみました。
水温は気温より高し
埼玉県
柴山沼
2019年11月9日(土)
朝6時
気温10度
サムッ(笑)
まだ日は低く、湖面にはまだ日が当たっていません。
それでも水温は14.5度!!
赤外線温度計で計測。(これめっちゃ便利)
気温より高いっす。
水は空気に比べて熱伝導率が高い(熱を伝えやすい)ですが、
比熱も高い(温度が変わりにくい)。
伝えやすいのに変わりにくいとはこれいかに。
1gの物を1℃上げるのにどれだけの熱量(エネルギー)が必要か、ということです。
数字でざっくり表すと
【比熱】水:空気=4:1
これは同質量(同じ重さ)での比較なので、
【比重】水:空気=800:1
を加味することで同じ体積の場合での比較ができます。
水は空気に比べ、比熱4倍、比重800倍。
ということは、
水の温度を1度上げるのに必要な熱量は
空気の3200倍(約)必要(同じ体積の場合)
ということです。
(容積比熱での比較)
数式で表すとこうなります

温度変化⊿t を左に持って来ると、
⊿t =Q/mc
温度変化=エネルギー/(質量×比熱)
となり、
温度変化はエネルギーに比例し、
比熱と質量に反比例することが分かります。
同体積同士で同じエネルギーを得る場合、比熱も質量も高い水は空気よりも温度変化が少ないのです。
(質量=体積×比重)
ちょっと難しいですね!(笑)
分かりやすく言えば、
【水は空気よりエネルギーを沢山蓄えられる】
のです。
・蓄えられるから、すぐに温度が上がらない
・蓄えてるから、すぐに温度が下がらない
と考えれば理解できるのではないでしょうか。
例えば、10月~11月だと、
色々なエネルギーの影響で気温は1日の中で8度~22度と14度も変化しますが、水温は14度~22度くらいで、8度しか変化しません。
これは、比熱と比重の影響なのです。
また、気温が高くなる昼間はというと、水温は気温の変化についていけず、水温<気温 ということもあります。日光のあたり具合によりますが。
一年間通して見れば、気温と水温の平均気温は同じくらいになります。
ただ、池の水は空気に比べて温度変化が少ないので、水中は季節が遅れてくるのです。
ただこれは、特殊な条件下での場合です。単純に、空気の温度に影響されて、水温が変わる場合の考え方。
何が水温を変えるのか
では水温は、空気の温度以外にどのような影響で変わるのでしょうか。
同じ池の中でも場所によって違う気がします。
”水”の影響
同じ比熱をもつ「水」の影響は大きいでしょう。
池の水とは温度の違う水の流入によって、水面が変化します。
具体的には
・雪解け水
・雨水
・温排水
・湧き水
同じ水なので、熱伝導率は高いし、保有熱量も多い。
【熱電導率】水:空気=24:1
【容積比熱】水:空気=3200:1
で、繰り返しになりますが、水は空気に比べて非常に熱が伝わりやすいです。
二層式になってるコップとかは、空気の層で温度変化を少なくしてますよね。(真空のはもっと伝えにくい。真空でも熱は電磁波で伝わるので0ではないですが)
また空気と水の接点は水面だけですが、水同士は混ざり合うので接点が非常に多くなり(360°接点になる)、その分熱のやり取りも増えます。
物理の授業でもやったと思いますが、混ざった水は全体が均一な温度になるように熱が移動します。「伝導」と「対流」ですね。
更に熱伝導率の良さも影響しています。
水温の違う水の流入によって、付近の水温が即座に変わる、ということです。
混ざって均等に、と言いましたが、
実際は場所によって水温って違いますよね。
池全体が完全に混ざり合うわけではないので、局所的な流入であるインレットや湧き水の周辺では影響が大きいのでしょうが、その他にも要因があります。
”濁り”と”太陽エネルギー”の影響
夜になって気温が下がったからといって、水温はいきなり下がりません。
昼になり気温が上がったからといって、日陰の水温はいきなり上がりません。
これは先ほど説明した通り、比熱と比重のせいですね。(水は空気より多くの熱を蓄えられるから)
しかし、太陽の光が水面に当たりだすと、気温の変化よりも先に体感温度やその部分の水温が変わってきます。
それは一体なぜなのか。理由は、太陽から放出される赤外線です!
赤外線!?
といきなり言われても理解しずらいと思いますので、まずは簡単に想像できる
「光」で考えてみましょう。
光が当たっている所は暖かくなる。
光が温めているのではありませんが(笑)分かりやすく言いました。後で説明します。
考えかたとしてはほぼオッケーでしょう(笑)
水面に日光が当たれば、水温も上がります。
そんなの分かってるわ!
と言われそうですが改めていいました。
ただ、その暖まり方にも色々あります。
例えば、”濁った水”と”澄んだ水”では温度の上がり方が違います。
・濁った水
の方が不純物の存在によって暖まりやすいのです。
また、
だったり
・水深が浅い所
も、他の場所よりも水温の上昇が早くなります。
何となく理由は分かりますよね?
感覚的に。
黒は暑くなるとか、コンクリートに触ると暖かい、という経験があるから。
でもエビカムではもう少し掘り下げて説明しておきます。
一応「科学的」に(笑)
では何故それらの場所は水温の上昇が早いのか?
それは「赤外線」の影響を受けやすいからです。
先ほど「光が温めているわけではない」って言ったのはそういうことで、
光(可視光線)というのは物を温める
効率が悪く、実際に温度を上げているのは
赤外線(見えない光)なのです。
ただ、光が当たっていれば赤外線も当たっているということで、ほぼオッケーとしました(笑)
結果は同じなので。
さて、赤外線について詳しくなりたい人は、更に読んでくださいね(笑)
光と熱と赤外線とその吸収率
太陽からは地球まで8分(光は)もかけて、日々大量のエネルギー(電磁波)が降り注いでいます。
最終的には全てのエネルギーが宇宙へと戻っていきますが、一旦半分くらいは地面や水面に吸収されます。(図参照)
空気もそのエネルギーによって温められますが、水の方がたくさん温められるので、気温より水温や地温が先に上がります。

※
NASAのデータによる
水の方が温度変化が遅いといった、先ほどの説明と矛盾しますね。
空気と水、どちらが先に温度変化するのかというのは、色々な条件によって変わってくるのです。
基本的には固いものほど早く温度変化し、徐々に柔らかい物へ熱を伝えていきます。これは赤外線吸収率と熱電導率の関係です。
熱は振動です。
物質を構成している分子が振動する強さが温度です。
ここで気を付けなくてはいけないのが、太陽からくるエネルギーは電磁波であって、熱ではないということです。
ややこしくなってきましたね(笑)
宇宙は真空なので、振動を伝えるものがありません。
そのため太陽で発生した熱は地球までくることはできません。
しかし、可視光を含めた電磁波は波であり粒子でもあるので、真空の中でも伝わる事ができるため、地球に届きます。
電磁波の中で、人が認識できる波長帯を【可視光】といい、その直近で可視光より短い波長を【紫外線】、長い波長を【赤外線】といいます。
ちなみに電子レンジで使っているマイクロ波は赤外線よりも長い波長です。
この
【赤外線】は、物を温める力が強いのです。
宇宙からきた赤外線は、まず空気の中を通ってから、地面や水面に到達するはずですね。
ということは、先に空気が温められそうなものですが、そうはいかないのです。
理由は、空気は赤外線の影響をあまり受けないからです。
逆に、水や土、石などは影響を受けやすく、だから空気より温度の上昇が早いのです。
地面や水面に吸収された赤外線というエネルギーは、熱というエネルギーに変わり、今度はその地面や水面に接している空気などの物質に伝導していくので、遅れて空気が温かくなるのです。
空気は比熱が水の1/3200でしたね。
だから遅れて温かくなった空気は、すぐに温度が上がって地面などの温度に近くなります。
空気は広い範囲で対流しますが、水や地面はほとんどしない、もしくは限られたエリアの中のみでしか対流しません。
そのため、熱い地面で温められた空気が冷たい地面を含めた全体に広がっていくので、冷たい地面の上では、空気の方が温かい、という現象が起こるのです。
その時、空気から地面や水面に熱が移動しますが、地面や水面は温まりずらいので、温度上昇がゆっくりになる、ということです。
これで最初の説明と同じになりましたね(笑)
また赤外線吸収率がいい物質というのは、赤外線を透過させずらく、物質の表面ばかり温められてしまう傾向にあります。
ただ、熱伝導率が良いので表面の熱がどんどん奥まで伝わり、全体が温かくなります。
赤外線が当たる面積が体積に対して大きいほど早く全体が温まるのです。
これで矛盾解決!?
伝わりましたかね(笑)
↓拡大してください
絵:いっぺ~
文:いっぺ~
これだけ理解していれば、
先にイメージした3パターンの現象を科学的に説明できますね。
・濁った水
は、濁りの原因となっている不純物が赤外線で温められるので水温が上がりやすい。
・陸から続く石やコンクリートの近く
は、石やコンクリが水より赤外線の影響を受けやすいから早く温度が上がる。
また熱を多く蓄えるので日が当たらなくなっても熱を出し続けるので水温が安定する。
・水深が浅い所
は、赤外線が当たる表面積率が体積に対して大きいので早く水温が上がる(対流度合いによるが)ということです。
さて、中学時代は宇宙少年団、高校は普通科の理系、大学は工学部だったいっぺ~の知識の中ではこう理解していましたが、はたして正しいのでしょうか(笑)
詳しい方、間違ってたら”そっと”教えてくださいね
( *´艸`)
実釣検証。結局魚が好きなのは良い水の方だった
気になる11月初旬の朝の柴山沼ですが、
私にはアタリもありませんでした。
合い方はでかいのバラしたようです。相方の隣の人は釣りあげていました。
何が違ったのか!?
11月初旬の朝は、とても寒いです。
気温10度切ります。
だから私は少しでも早く日の当たり始める西側の岸で釣りをしていました。
対する相方は東側。
私のいる西側は水が少し濁っていて、ゴミや泡のある状態で浅い。
相方のいる東側はきれいな水で、泡もたっていない状態で深い。
日当たりもニゴリも浅さも、水温上昇の条件はフルコンプリートしているにも関わらず、釣れていたのは相方のいた東側。
なぜだ!?
答えは、単純に、
水のいい方にバスはいた
ということですね。
勉強になりました。
※日の当たる西側

※PEで再起不能バックラッシュ。再起しましたが15分ロス(笑)

※相方のヒットルアー。ゲーリーのレッグワーム2.9”のヘビダン7g。
ちょっと沖のブレイクに引っかけたんですって。
それはルール違反ってことで。(笑)

安くて使いやすい赤外線温度計。
離れていても一瞬で計測できる優れものです。
違いは分かんないけどちょっと高級な方です。
あ、防水だ!!
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